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【20代向け】財形貯蓄はマジでメリット無い。すぐにでも考え直すべき

会社の給与から天引きして、自動的に積立してくれる財形貯蓄制度。

1972年にスタートした制度なんですけど、昔の名残で今でもやってる会社さんは多いみたいです。

当社でも制度があるので、財形貯蓄始めたいです。と言う相談をちょいちょい受けます。

正直、財形貯蓄って昔の制度で残ってるだけでマジでメリットないよ?それでもやるの?

と声を大にして言いたい。

財形貯蓄を始めようと思ってる人はぜひ読んでくださいまし。

 

・わざわざ財形預金するメリットは無い
・かろうじて検討の余地があるのは財形住宅貯蓄のみ(これもほぼない)
・財形年金貯蓄するくらいならidecoやろっか

 

財形預金制度の基本をおさらい

一般に“財形制度”と呼ばれる「勤労者財産形成促進制度」は、勤労者財産形成促進法に基づき、会社が雇用する社員の財産づくりを国とともに支援する制度です。

財形制度の導入により、会社は社内預金制度や社内融資制度に準じた制度を確立することができ、人材の確保・定着に有利となります。一方、社員は各々のライフステージにおけるイベント(結婚、出産、マイホーム購入など)で必要となる資金を、給与天引きにより確実に貯蓄することができます。

財形貯蓄はあくまでも社員個人のための貯蓄ですが、これを自社の社員に利用してもらうためには、会社が福利厚生の一環として、財形制度を個別に導入していただく必要があります。

このように、財形制度は単なる積立預金にとどまらず、国と会社がともに社員の人生設計を支援するしくみとなっています。

引用:勤労者退職金共済機構

財形貯蓄の基本は上の通りな制度なんですが、要約すると、

普通預金口座だといつでもお金おろせるし、すぐ使っちゃうでしょ?
将来に備えて会社の給与から天引きで、出金するのに手間がかかる口座にお金貯めて人生設計しよっか。
住宅購入・老後の備え(年金)目的の貯蓄なら、ちょっとだけ税金がお得だよ。

と言う制度な訳ですな。

 

財形貯蓄制度は全部で3種類

  1. 一般財形貯蓄
  2. 財形住宅貯蓄
  3. 財形年金貯蓄

貯蓄する目的に応じて、3種類の中から選ぶ事になります。

財形預金の種類と特徴

ザックリ言うと、こんな感じになっちょります。

それぞれの特徴を簡単に解説します。

 

一般財形貯蓄(マジでメリットなし)

要するに、給与から天引きで積立してくれる普通預金とお考え下さい。(出金の手続きが面倒くさいと言うオマケつき)

お金があればあるだけ使っちゃう人のストッパー的な存在、というくらいしか現在では意味の無い制度となっております。

 

財形住宅貯蓄・財形年金貯蓄(利息が非課税)

財形住宅貯蓄・財形年金貯蓄の特徴は、利息に税金がかからない事。

普通預金や一般財形でもらえる利息には、20.315%の税金がかかってます。

例えば1,000円の利息がついたとしたら、税金として203円徴収される訳ですな。(銀行口座には、税金を取られた後の797円が入金となる)

この税金が非課税になるので、税金を取られずに利息分まるまる1,000円貰えるという訳です。

これがかろうじてメリットと言えばメリットかもしれませんね。

 

超低金利の現代で、利息非課税もくそもない

財形預金の唯一と言ってもいいメリットは、財形住宅・財形年金なら550万円まで利息が非課税になる所。

と言っても今の財形預金金利は0.001%や0.002%が多い。

非課税になった所で550万円貯めた段階で、財形貯蓄でお得になる金額はせいぜい3,000円程度のもの。

こんな些細なメリットの為に、わざわざ財形始めますか?って話なんですよね。

昔のバブル期だと利息が5%とかあったんでね~。非課税になるのは大きかったんですけど。

昔の状況に合わせて作られた制度が、時代錯誤なまま残り続けてしまってる、という訳ですな。

 

とは言え、財形住宅貯蓄はちょっとだけお得かも?

財形住宅貯蓄は、利息が非課税になる以外にちょっとだけお得な事があります。

それは、住宅を購入する時に金利が安くなる!かもしれない、と言う事。

財形住宅貯蓄をやってる人で条件に当てはまれば、住宅ローンの金利が0.7%(2021年1月現在)くらいで借りる事ができます。(財形住宅融資と呼ばれる制度)

よく選ばれるフラット35だと1.2%くらいなので、そういう意味ではお得ですな。

ただ、財形住宅融資を受けるにはいくつか条件があります。

・自分で住むための住宅を購入、もしくはリフォームする

・一般財形貯蓄、財形年金貯蓄、財形住宅貯蓄のうち、1つでも1年以上継続している
・申込日前2年以内に財形貯蓄の預け入れをしている
・申込日における財形貯蓄残高が50万円以上ある

・勤務先から住宅の負担軽減措置や住宅援助を受けられる(住宅手当があるか)

・申込日時点で70歳未満

・すべての借入金(自動車ローン等含む全ての返済)の合計返済額が下記の範囲内
年収400万以上:35%以下(400万の場合、借入合計が140万まで)
年収400万未満:30%以下(350万の場合、借入合計が105万まで)

上記を全て満たしている必要があります。

 

財形住宅融資は5年ごとに金利の見直しアリ

財形住宅融資の制度を使えば、安い金利で住宅ローン組めるんですけど、5年ごとに金利の見直しが入ります。

良くあるフラット35だと、35年間ずっと金利据え置きなんですけど、財形住宅融資の場合はそうじゃないというのが注意点ですな。

将来的に金利が上昇して、特にならない可能性も十分あるので、これもあまりメリットとは言えないのが現状ですね。

 

国はidecoとつみたてNISAで資産形成を促している

金融庁が出してる「人生100年時代における資産形成」ってレポートがあるんですけど、これがなかなか良い資料でして。

https://www.fsa.go.jp/singi/singi_kinyu/market_wg/siryou/20190412/03.pdf

スライド形式で書かれてるので、サラサラッと目を通しておくことをオススメします。

 

ここにideco・つみたてNISA・財形の比較が出てくるんですけど、結論としては、

老後2,000万円問題については、idecoとつみたてNISAを使ってうまい事やってくれやで~。頼むやで~。

と言う内容になってる訳ですね。

財形貯蓄については比較で上がってるだけで、まったく推奨されてない訳です。

 

国としても時代遅れな制度である事は理解してるけど、継続して財形貯蓄を利用してる人もいるので、制度がそのまま残っているだけ

と言うのが、今の状況じゃないかな~と思いますね。

 

こんな状況で、本当に財形貯蓄始めますか?idecoや積立NISAを検討した方がいいのでは?

かっしー
idecoを月1万積立するだけで、年間の税金が2万円程度から安くなりますよ。そっちの方が良くない?(老後の備え目的の制度なので65歳まで出金できないのがネックではあるけど)

 

※idecoの資産形成力・メリットについては別記事で紹介しているので、ご一読くださいまし。

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この金融庁のレポートを読んでも、本当に財形貯蓄を始めますか?

 

まとめ

財形貯蓄制度は全部で3種類

  1. 一般財形貯蓄
  2. 財形住宅貯蓄
  3. 財形年金貯蓄

550万まで利息が非課税とか、住宅ローンの金利が低くなるとか色々ありますが、メリットとしては本当に微々たるもの

今の時代に財形貯蓄を考えてる人は、idecoや積立NISAを考えた方が良いのでは?

 

参考文献・URL

・厚生労働省-勤労者財産形成促進制度(財形制度)

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000105724.html

 

・金融庁ー人生100年時代における資産形成レポート

https://www.fsa.go.jp/singi/singi_kinyu/market_wg/siryou/20190412/03.pdf

 

・勤労者退職金共済機構

https://www.zaikei.taisyokukin.go.jp/about/index.php