
自営業者は、自宅の椅子を仕事に使うからと言っていいやつ買ったり、飲み会のお金も接待と言って経費にできる!
なんて話を令和の時代になっても聞いたりします。
自営業者はなんでもかんでも経費にできてズルい!と言う人は、

という発想での発言だと思いますが、これは大きな間違い。
ちょっとお金の事を知ってる人が聞くと、

と、恥をかいてしまいますよ。
わかりやすいように解説するので、これを機会に正しい知識を身に着けてもらえれば、と思います。
・実はサラリーマンの方が税金面では優遇されている
・なぜ優遇されているのか、具体例を踏まえてわかりやすく解説
税金の計算方法がわかれば、なぜ恥をかくか理解できる
自営業者の経費ズルい問題は、税金の計算方法がわかれば解ける問題です。

と言う人も多そうだけど、簡単にまとめるので、ぜひ読み進めてください。
簡単に言うと、税金の計算式はこうなっている
税金の計算をものすごーく簡単に言うと、この式になります。
①の収入は簡単ですね。サラリーマンの年収(額面)の事です。
③の課税所得というのが、納税額を計算する時の基準になる金額の事です。
②の控除というのがイメージわかないかもしれませんが、社会保険料控除とか扶養控除とかをひっくるめた物になります。
この控除の金額が多ければ多いほど、税金が安くなると覚えて頂ければOKです。
具体例で税金計算の仕組みを把握
文章だけではなかなかわかりにくいと思うので、具体例で見てみましょう。
Aさん、サラリーマン給与年収 500万円 独身の場合
この場合、ザックリの税金計算はこうなります。
②控除=約254万
③課税所得=約246万
この③に税率がかかって、所得税が約15万、住民税が約25万、と言う計算になって税金を支払います。
ここで見て欲しいのが②の控除、と言う部分。
この控除の金額が大きければ大きいほど、課税所得が安くなる訳です。
サラリーマンの大きなメリット、給与所得控除
控除の中に、「給与所得控除」と言う物があります。
この給与所得控除、どういうものかと言うと、サラリーマンって出勤するのにスーツ買ったりするじゃないですか。
スーツ代とか革靴代とかって、仕事で利用する物なので、経費とも考えられますよね。
でも、サラリーマンは自分のお金で買った物を経費にできない訳です。
じゃあどうするかって話になるんですが、実は、

と言う発想で、年収の金額に応じて自動的に控除の金額が計算されてるんですね。
つまりサラリーマンは、年収に応じて勝手に税金が安くなってる訳です。これが給与所得控除と呼ばれる控除の仕組みになります。
給与所得控除、どのくらい税金安くなってるの?
さっきのAさんの場合(年収500万)で計算すると、1,440,000円が給与所得控除の金額になります。
年収500万だと所得税・地方税合わせて税率が約20%なので、288,000円ほど税金が安くなっている計算になります。
しかもこれ、実際にお金使ってなくても勝手に288,000円税金が安くなってるんですよ。
冷静に考えると、かなり大きいですよね~。
・給与所得控除はサラリーマンしか使えない
この給与所得控除は給与をもらってる人の為の制度なので、サラリーマンしか使えません。
一方、自営業者は経費で税金を安くする事ができますが、給与所得控除がありません。
経費として使うと言う事は、当然お金は実際に使わないといけません。
同じ条件で考えると、自営業者は1,440,000円を経費として使って、初めてサラリーマンと肩を並べる事になります。
両者を比較すると、
こんな図式になりますね。
こう考えると、実はサラリーマンって税金計算ではめちゃくちゃ優遇されてる、と言う事が良くわかると思います。
こういった事を踏まえずに、「自営業者はなんでも経費にできてズルい!」と言っちゃう人は、そりゃあ恥をかくってもんですな。
まとめ
自営業は経費で落とせてズルい、の大きな2つの間違い
サラリーマンは経費が使えないと言う話を良く聞くけれど、これは大嘘。
経費のかわりに年収に応じた給与所得控除で、勝手に税金が安くなってる。
自営業者は実際にお金を使った分しか税金が安くならない。
サラリーマンはお金を使ってなくても、勝手に税金が安くなってる。